自分が嫌になる育児…”自己肯定感”を取り戻す5つの方法

はじめに

「こんなはずじゃなかった…」「私、ダメな親かも」そんな風に思ったことはありませんか?育児は想像以上に大変で、理想と現実のギャップに悩む親御さんは少なくありません。実際、育児中に自己肯定感が下がってしまうお母さんは約4割にのぼるという調査結果もあります。

でも、そんな気持ちを抱いているのはあなただけではありません。そして、ちょっとした方法で自己肯定感は必ず取り戻せるのです。

そもそも「自己肯定感」とは?

自己肯定感の定義

「自己肯定感」とは、無条件にありのままの自分を受け入れて、自信や安心を得られる感覚のことです。つまり、「自分は価値がある存在だ」「このままの自分でも愛される」と思える気持ちのことを指します。

親の自己肯定感が子どもに与える影響

実は、親の自己肯定感が低いほど、その子どもの自己肯定感も低くなる傾向があり、反対に親の自己肯定感が高いほど、子どもの自己肯定感も高くなる傾向が見られましたという研究結果があります。

つまり、お母さん・お父さんの自己肯定感を高めることは、お子さんの心の成長にもプラスの影響を与えるのです。

なぜ育児で自己肯定感が下がってしまうの?

理想と現実のギャップ

多くの親が経験するのが、「子育てへの理想と現実のギャップ」です。「出産前に”子どもにはこうしてあげよう””こういう親でいよう”と思っていましたが、実際に産んでみると色々考えていた願望は見事に崩れていった。子どもの要望にちっとも答えてあげられないし、子どものわがままはひどくなる一方だしで、自己肯定感は下がる一方です」という体験談のように、思うようにいかない育児に自信を失ってしまうケースが多く見られます。

完璧主義の落とし穴

特に教育熱心で真面目な親ほど、「いい親でなければ」と思うほど自己肯定感が低下する傾向があります。「専業主婦になり、家事育児に専念しているが、全てを完璧にできないと自分はだめな人間なのではないかと自己嫌悪に陥る」というように、すべてを完璧にこなそうとする気持ちが、かえって自己否定につながってしまうのです。

社会的孤立感

核家族化が進む現代では、育児の悩みを相談できる人が身近にいないことも多く、一人で抱え込んでしまいがちです。特にコロナ禍以降は、7割以上の親が「自粛前に比べて、子育てが大変になった」、6割以上が「親が自粛期間中に子どもを叱る回数が増えている」と回答しており、育児ストレスが増加していることがわかります。

自己肯定感が低いときの症状チェック

心の症状

  • 子育てを楽しいと感じられない
  • 子どもと過ごすのがつらい
  • 「私なんて…」が口癖になっている
  • 他の親と比較して落ち込む
  • 小さなことでもイライラしてしまう

行動面での変化

  • 子どもに「○○しなさい!」「早く!」と命令ばかりしてしまう
  • 子どもが頑張っていても評価できない、厳しくしてしまう
  • 子どもが自分の想像通りにできないと、怒ってしまったり、落ち込んだりしてしまう

もしこれらの症状に複数当てはまる場合は、自己肯定感が低くなっている、あるいは育児が困難になっている目安になると考えられます。

親の自己肯定感を高める5つの方法

方法1:現実を肯定的に受け止める練習

認知行動療法の方法でもあるんですが、事実をマイナスにとらえていたら、そこで一度考えることをストップして、起きた事実だけを確認する。事実をゼロとして確認できたら、今度はプラスにとらえられるように変えていくことが効果的です。

具体的な実践方法

状況マイナス思考事実の確認プラス思考への転換
夕食がうどんだけになった「ちゃんとした食事を作れない私はダメな母親」「今日は忙しくて、うどんを作った」「忙しい中でも子どもにちゃんと食事を用意できた」
子どもが言うことを聞かない「私の育て方が悪いせい」「子どもが自分の意思を表現している」「子どもが成長して自我が芽生えている証拠」
他の子より発達が遅い「私の関わり方が足りない」「子どもにはそれぞれペースがある」「この子らしいペースで成長している」

方法2:目標設定を下げて成功体験を積む

「目標をかなり下に持つようにした。”立派に生かせているならそれで良し!”くらいの低い目標くらいだとそれなりにちゃんとできてるように思える」という体験談のように、ハードルを下げることで達成感を得やすくなります。

実践例

  • 「完璧な食事」→「栄養バランスを意識した食事を週3回」
  • 「いつも笑顔でいる」→「1日1回は子どもと一緒に笑う」
  • 「きちんとしつけ」→「危険なこと以外は大目に見る」

方法3:日記やメモで気持ちを整理する

日記を書くと、事実を客観的に見つめられるからです。ただ、口でいうのは簡単ですが、育児中は時間的余裕がなくて実行するのは難しいですよね。スマホのメモ機能などに、簡単に気持ちを書きとめると意外とスッキリするかもしれません。

効果的な日記の書き方

  1. その日の「できたこと」を3つ書く
  2. 子どもの成長や可愛い瞬間を記録する
  3. 感謝できることを1つでも見つける

方法4:同じ悩みを持つ人とつながる

「インスタグラムやSNSで同じ悩みの人の意見を聞いた」「インスタグラムで同じ年頃の子を持つママ友さんと知り合い、やり取りする中で、同じ悩みを持つ人がいると思って自己肯定感を保っています」という声があるように、孤独感を和らげることが重要です。

つながり方の例

  • 地域の子育てサークルに参加
  • SNSの子育てコミュニティに参加
  • 保育園や幼稚園の保護者同士で交流
  • オンライン子育て相談サービスの活用

方法5:自分をほめる習慣をつける

子どもをほめることは意識していても、自分をほめることは忘れがちです。まずは小さなことから自分を認める習慣をつけましょう。

自分ほめのポイント

  • 「今日も一日、子どもを守れた」
  • 「忙しい中でも食事を作れた」
  • 「子どもの話を聞いてあげられた」
  • 「泣いている子どもを抱きしめてあげられた」

子どもの自己肯定感も一緒に高める方法

ありのままを受け入れる言葉かけ

「あなたがいるだけでママは幸せ」「どのようなあなたでも大好きよ」と子供に言って抱きしめてあげましょう。結果や能力ではなく、存在そのものを認める言葉かけが大切です。

過程を認める褒め方

子どもの「今」を認め、それに至るまでの努力した過程を褒めてあげましょう。「100点取ってすごいね」ではなく、「毎日頑張って勉強していたもんね」という風に過程に注目しましょう。

失敗を受け入れる姿勢

「また頑張ればいいよ。次はきっと上手くいくよ」「挑戦したあなたは立派ね」と言って、親は子どものガッカリした気持ちを癒す存在になることが重要です。

専門機関の活用も大切

相談機関の利用

「子育てで悩んでいることを相談機関に相談して”大変で当たり前”などと言われたことで、自己肯定感が安定した」という体験談もあります。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。

利用できる相談機関

  • 各自治体の子育て支援センター
  • 保健所の母子保健相談
  • 子育て世代包括支援センター
  • 小児科のカウンセリング
  • オンライン子育て相談サービス

文部科学省の取り組み

文部科学省が行った令和3年度全国学力・学習状況調査によると「自分には良いところがあると思いますか?」という質問に「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と答えた生徒の方が「当てはまらない」「どちらかといえば当てはまらない」と答えた生徒より成績が高くなっていることからも、自己肯定感の重要性が国レベルで認識されています。

編集部体験談:自己肯定感を取り戻したママの声

Aさん(32歳、2歳と4歳のママ) 「第二子出産後、上の子のイヤイヤ期と重なって毎日怒ってばかり。『こんなはずじゃなかった』と落ち込む日々でした。でも、育児日記をつけ始めて、小さな『できた』を記録するようになってから変わりました。『今日はお兄ちゃんが下の子に優しくできた』『みんなで笑って食事できた』など、当たり前だと思っていたことが実は素晴らしいことだと気づけたんです。」

Bさん(29歳、3歳のママ) 「『完璧な母親になりたい』という思いが強すぎて、できないことばかりに目が向いていました。でも、ママ友と話すうちに、みんな同じような悩みを抱えていることがわかって安心しました。今は『今日も一日、子どもが元気に過ごせた』ことを当たり前ではなく、すごいことだと思えるようになりました。」

まとめ:自己肯定感は必ず取り戻せる

育児で自己肯定感が下がってしまうのは、決して珍しいことではありません。むしろ、子どものことを真剣に考えているからこその悩みです。

大切なのは:

  1. 完璧を求めすぎない:小さな目標設定で成功体験を積む
  2. 現実を肯定的に受け止める:事実をニュートラルに見つめ直す
  3. つながりを大切にする:一人で抱え込まず、支援を求める
  4. 自分を認める:小さなことでも自分をほめる習慣をつける
  5. 専門家の力を借りる:必要に応じて相談機関を活用する

「人は人、自分は自分。子どもは心身ともに健康に育ったじゃないか!と思うようにしたら、少しは気が楽になってます」という先輩ママの言葉のように、比較ではなく、あなたらしい子育てを見つけていくことが大切です。

自己肯定感を取り戻すことは、あなた自身のためだけでなく、お子さんの健やかな成長のためでもあります。今日からできる小さな一歩を踏み出してみませんか?


参考文献・出典

  • 文部科学省「令和3年度全国学力・学習状況調査」
  • こども家庭庁「子どもの意識に関する調査」
  • 内閣府「子ども・若者の意識に関する調査」
  • ほめ写プロジェクト「自粛期間中の未就学児の子育てに関する意識調査」

記事の内容は専門機関の調査データと専門家の見解に基づいて構成されています。個人の状況により効果には差があります。深刻な悩みを抱えている場合は、専門機関にご相談ください。