ひらがなの書き順が覚えられない時の解決法|効果的な練習方法と教え方のコツ

お子さんがひらがなを練習し始めたものの、「書き順がめちゃくちゃ」「何度教えても覚えられない」と悩んでいませんか?幼児期のひらがな練習は、小学校入学に向けて重要なステップですが、正しいアプローチで進めることで、お子さんも楽しく身に付けることができます。

この記事では、書き順で悩むお子さんを持つ保護者の方に向けて、効果的な教え方や練習方法をご紹介します。元小学校教員の経験に基づいたアドバイスも交えながら、お子さんの学習を成功に導く方法をお伝えします。

  1. まずは安心してください:書き順の間違いは珍しいことではありません
    1. 文部科学省の見解
    2. テストでの評価について
  2. 書き順を覚えるメリット:なぜ正しい書き順が大切なのか
    1. 1. 美しい文字が書けるようになる
    2. 2. 書くスピードが向上する
    3. 3. 漢字学習に役立つ
  3. 年齢別:ひらがな練習のタイミング
  4. 効果的な書き順の教え方:基本原則を理解しよう
    1. 書き順の3つの基本原則
    2. 間違えやすいひらがなと覚え方
  5. 楽しく練習する方法:お子さんのやる気を引き出すコツ
    1. 1. 視覚的に分かりやすく教える
    2. 2. 動作と一緒に覚える
    3. 3. 短時間で集中して練習
  6. 家庭でできる具体的な練習方法
    1. ステップ1:運筆練習から始める
    2. ステップ2:なぞり書きで基本を覚える
    3. ステップ3:段階的に自立させる
  7. 編集部の体験談:我が家の書き順練習
  8. おすすめの教材・ツール
    1. 無料で使える教材
    2. 市販のおすすめドリル
    3. デジタルツール
  9. NG行動:やってはいけない教え方
    1. 1. 強制的な練習
    2. 2. ネガティブな声かけ
    3. 3. 大人の基準での評価
  10. よくある質問と解決法
    1. Q: 何度教えても覚えられません
    2. Q: 左利きの場合、書き順は変わりますか?
    3. Q: 鏡文字を書いてしまいます
  11. 小学校入学前に身に付けておきたいレベル
    1. 最低限身に付けたいこと
    2. できれば身に付けたいこと
  12. 専門機関からのアドバイス
  13. まとめ:焦らず楽しく進めることが成功のカギ

まずは安心してください:書き順の間違いは珍しいことではありません

実は、小学校入学前の段階で書き順がめちゃくちゃでも、それほど心配する必要はありません。元小学校教員の経験談によると、「入学当初、書き順がめちゃくちゃなお子さんは意外といる」そうです。

文部科学省の見解

現在の小学校教育では、書き順の習得についてはそこまで重要視されていません。文部科学省が定めている「小学校学習指導要領」によると、書き順指導の必要性について小学校低学年では明記されていますが、中学年以降では明記されていません。

また、小学校低学年でも書き順指導の目的は「正しい書き順を覚えること」ではなく、以下のような目的があります:

  • 文字の構造を理解すること
  • 美しい文字を書くための手の動きを身に付けること
  • 文字への興味・関心を育むこと

テストでの評価について

お子さんが間違った書き順で文字を書いても、テストで×をつけられることはほとんどありません。文字の形が正しく書けていれば○になります。また、ひらがなの書き順そのものがテストに出ることもほとんどありません。

書き順を覚えるメリット:なぜ正しい書き順が大切なのか

では、なぜ正しい書き順を身に付ける必要があるのでしょうか?以下のようなメリットがあります:

1. 美しい文字が書けるようになる

正しい書き順で書くと、止め・はね・はらいなどの動きがスムーズになり、文字の形が美しく整います。

2. 書くスピードが向上する

正しい書き順は、手の動きが最短距離になるよう考えられています。ムダな動きがなくなり、文字を書くスピードが速くなります。

3. 漢字学習に役立つ

ひらがなで正しい書き順の原則を身に付けておくと、将来の漢字学習がスムーズになります。同じ部首を持つ漢字を覚える際にも役立ちます。

年齢別:ひらがな練習のタイミング

年齢発達段階おすすめの取り組み
2-3歳手先の発達途中絵本の読み聞かせ、文字への興味を育む
3-4歳運筆力の基礎形成線や曲線を描く練習、なぞり書き
4-5歳文字学習に適した時期ひらがなの読み書き練習
5-6歳小学校準備期正しい書き順の定着、文章練習

重要なのは、お子さんが「文字を書いてみたい!」と興味を示したタイミングでスタートすることです。

効果的な書き順の教え方:基本原則を理解しよう

書き順の3つの基本原則

小学校学習指導要領では、書き順の原則について以下のように定められています:

  1. 上から下へ
  2. 左から右へ
  3. 横から縦へ

これらの原則を最初に教えておくと、お子さんも文字の書き順を覚えやすくなります。

間違えやすいひらがなと覚え方

特に書き順を間違えやすいひらがなには、楽しい覚え方があります:

「も」の覚え方

  • 正解:縦線(し の形)→ 横線2本
  • 覚え方:「尻もちドーン、横棒2本でシェ~(両腕を広げて)」

「や」の覚え方

  • 正解:「つ」の形 → 右の短い棒 → 左の長い棒
  • 注意:「か」と混同しやすいので要注意

「せ」の覚え方

  • 正解:横線 → 縦線 → はらい
  • ポイント:「横から縦へ」の原則通り

楽しく練習する方法:お子さんのやる気を引き出すコツ

1. 視覚的に分かりやすく教える

ひらがなの形を身近なものに例えて説明しましょう:

  • 「の」は「元気なまあるい形」
  • 「し」は「にょろにょろヘビさん」
  • 「つ」は「小さなお山」

2. 動作と一緒に覚える

書く動きを言葉で表現しながら練習します:

  • はらいは「すうっとカーブして、しゅっと終わる」
  • はねは「ピョン!と跳ねる」
  • とめは「ピタッと止まる」

3. 短時間で集中して練習

お子さんの集中力は長く続きません。以下のポイントを心がけましょう:

  • 1回の練習時間:3-7分程度
  • 毎日少しずつ継続する
  • 遊びを中断してまで練習させない
  • 褒めながら進める

家庭でできる具体的な練習方法

ステップ1:運筆練習から始める

いきなりひらがなを書かせるのではなく、まずは鉛筆に慣れることから始めましょう:

  • 直線・曲線を描く練習
  • 迷路をたどる練習
  • 点と点を結ぶ練習

ステップ2:なぞり書きで基本を覚える

市販のドリルや無料プリントを活用して、なぞり書きから始めます。選ぶポイント:

  • 文字のマスが大きいもの
  • 文字の横にイラストがあるもの
  • 書き順が分かりやすく示されているもの

ステップ3:段階的に自立させる

  1. 手を添えて一緒に書く
  2. 口頭で書き順を言いながら書かせる
  3. 一人で書かせる
  4. 間違いがあったら優しく修正

編集部の体験談:我が家の書き順練習

編集部スタッフA(5歳男児の母)

「息子が『も』の書き順をどうしても覚えられず、毎回横線から書いてしまっていました。そこで『も』を覚える歌を作って一緒に歌いながら書く練習をしたところ、1週間で正しい書き順が身に付きました。歌詞は『しのじ、しのじ、よこよこ』という簡単なものでしたが、効果てきめんでした!」

編集部スタッフB(4歳女児の母)

「娘は完璧主義で、少しでも間違うと泣いてしまうタイプでした。そこで消せるマーカーとホワイトボードを使って練習するようにしたところ、『間違っても大丈夫』という安心感から、のびのびと練習できるようになりました。今では書くことが大好きになっています。」

おすすめの教材・ツール

無料で使える教材

  1. ちびむすドリル:ひらがな練習プリントが豊富
  2. ぷりんときっず:段階別の練習プリント
  3. 文部科学省公式サイト:正しい書き順動画

市販のおすすめドリル

年齢タイトル特徴
3-4歳「はじめてのひらがな」シリーズ大きなマス、カラフルなイラスト
4-5歳「くもんのひらがなドリル」段階的学習、反復練習
5-6歳「きれいに書けるひらがな」美しい文字の書き方重視

デジタルツール

  • ひらがな書き順アプリ:動画で書き順が確認できる
  • タブレット学習:楽しいゲーム要素で飽きない

NG行動:やってはいけない教え方

1. 強制的な練習

「今日は10回書くまで遊んじゃダメ」のような強制は逆効果です。文字嫌いになってしまう可能性があります。

2. ネガティブな声かけ

  • ❌「違うでしょ」「やり直し」
  • ⭕「こう書くとかっこいいよ」「お姉さんっぽいね」

3. 大人の基準での評価

完璧を求めすぎず、お子さんなりの成長を認めてあげましょう。

よくある質問と解決法

Q: 何度教えても覚えられません

A: お子さんのペースに合わせることが大切です。覚えが悪いのではなく、まだその時期ではない可能性もあります。以下を試してみてください:

  • 練習方法を変える(歌やリズムを取り入れる)
  • 一度に覚える文字数を減らす
  • 楽しい要素を増やす

Q: 左利きの場合、書き順は変わりますか?

A: 基本的には右利き用の書き順で問題ありません。ただし、一部の文字で書きにくさを感じる場合は、お子さんが書きやすい順序を優先しても構いません。

Q: 鏡文字を書いてしまいます

A: 4-5歳頃の鏡文字は発達の過程で正常です。以下の対策が効果的:

  • お手本を見ながら書く習慣をつける
  • 文字の向きを意識させる声かけ
  • 焦らず見守る姿勢

小学校入学前に身に付けておきたいレベル

小学校入学までに、以下のレベルを目標にしましょう:

最低限身に付けたいこと

  • ひらがな46文字が読める
  • 自分の名前がひらがなで書ける
  • 正しい鉛筆の持ち方ができる

できれば身に付けたいこと

  • ひらがな46文字が正しい書き順で書ける
  • 簡単な単語が書ける
  • 文字に興味・関心を持っている

専門機関からのアドバイス

文部科学省の幼児教育に関する調査によると、小学校入学前にひらがなを読める子は90%を超えています。しかし、書き順については完璧である必要はなく、小学校入学後に正しく身に付けていけば問題ありません。

重要なのは、お子さんが文字に対して前向きな気持ちを持ち続けることです。

まとめ:焦らず楽しく進めることが成功のカギ

ひらがなの書き順が覚えられないと悩んでいる保護者の方も多いですが、以下のポイントを心がけることで、必ずお子さんは上達します:

成功のための5つのポイント

  1. お子さんのペースを尊重する:無理強いせず、興味を示したタイミングで始める
  2. 基本原則を教える:「上から下へ」「左から右へ」「横から縦へ」
  3. 楽しい要素を取り入れる:歌や動作、ゲーム要素で飽きさせない
  4. 短時間で継続する:1回3-7分程度を毎日続ける
  5. ポジティブな声かけ:できたことを褒め、成長を認める

書き順は一朝一夕には身に付きませんが、正しいアプローチで継続すれば、必ずお子さんの力になります。小学校入学に向けて、親子で楽しみながらひらがな練習を進めていきましょう。

何より大切なのは、お子さんが「文字って楽しい!」「書くのって面白い!」と感じられることです。そんな気持ちを育てながら、一歩ずつ成長を見守ってあげてください。


参考文献・出典

  • 文部科学省「小学校学習指導要領」
  • 文部科学省「幼児教育、幼小接続に関する現状について」(平成27年4月)
  • 立石美津子『きれいに書ける ひらがな』
  • 各種幼児教育専門誌・研究論文

※この記事の情報は2025年6月時点のものです。最新の教育方針については、文部科学省公式サイトをご確認ください。