数が苦手な子供の特徴と遊びで克服する方法【幼児教育】

“うちの子、数字が苦手みたい…” そんな不安を感じている幼児教育に関心のあるご夫婦も多いのではないでしょうか。実は、算数に苦手意識を持つ子どもは、とても多いです。しかし、早い段階で適切なアプローチを取ることで、お子さまの数への苦手意識は必ず克服できます。

この記事では、数が苦手な子供の特徴を詳しく解説し、ご家庭で楽しく実践できる遊びを通した克服方法をご紹介します。文部科学省では、幼稚園等においては、遊びを通して子供たちの資質・能力を育んでいること、その資質・能力は小学校以降の学習や生活の基盤となっていることを示しています。

この記事でわかること:

  • 数が苦手な子供に見られる3つの特徴
  • 幼児期の数の理解に必要な基本要素
  • 年齢別の具体的な遊び方法
  • 避けるべき声かけと効果的な接し方
  • 日常生活で数に親しむコツ

数が苦手な子供によく見られる3つの特徴

1. 数唱(すうしょう)と実際の数量が結びついていない

お子さまが「いち、に、さん、し、ご…」と上手に数えられるようになったとき、「もう数がわかってきた!」と思いがちです。しかし、子どもが数字を順番に言えるようになると「数がわかってきた」と思いがちですが、それだけで数の概念を理解したとはいえません。

具体例:

  • リンゴが3個あっても「いち、に、さん、よん」と数えてしまう
  • 物を指しながら数えられない
  • 「全部でいくつ?」と聞かれても答えられない

これは、”言葉の数”と”実際のものの数”が対応していないために起こる現象です。単純に言葉を覚えているだけで、数の意味を理解していない状態なのです。

2. 抽象的な概念の理解が困難

算数は、計算力だけでなく、抽象的な概念を理解する力が必要になるため、幼児期のお子さまには理解が困難な場合があります。

見られる行動:

  • 「3番目」「5番目」などの順序がわからない
  • 「多い・少ない」の比較ができない
  • 「あと○個で△個になる」という概念が理解できない

3. 計算への恐怖心や苦手意識

子供自身がお友達と自分を比べてしまって、算数に苦手意識を持ってしまうケースがあります。また、保護者や周囲にいる大人たちが何気なく発する言葉によって、算数の苦手意識が生まれる場合もあります。

避けるべき声かけの例:

  • 「なんでわからないの!?」
  • 「もっと早くしなさい!」
  • 「○○ちゃんはできるのに」

数の理解に必要な3つの基本要素

幼児期の数の理解には、「数唱」「数量」「数詞」の3つの要素が基礎となります。

要素内容具体例
数唱「いち、に、さん」と順番に唱えることお風呂で10まで数える
数量実際の物の個数や量リンゴが3個ある状態
数詞数字そのもの(1、2、3など)時計の文字盤、カレンダーの数字

この3つの概念を自由自在に行き来できるようになることが、「数えられるようになること」だと言えるでしょう。

年齢別・発達段階に応じた遊びでの克服方法

3歳頃:数の基礎を楽しく身につける時期

発達の特徴:

  • 3歳頃はちょうど「数の基礎」である3つの要素が身につき始める時期
  • 3までの数をパッと見て判断できるようになる
  • 数字への興味が芽生える

おすすめの遊び①:新聞紙破り遊び

身近にある新聞紙を使った、「数唱と数量の一致」の理解につながる数遊びです。

やり方:

  1. 新聞紙を用意する
  2. 「イチ、ニ、サン」と数えながら、新聞紙を破っていく
  3. 「イチ、ニ、サン」と数えながら、新聞紙を丸める

効果: 数唱と動作を連動させることで、数の感覚が自然に身につきます。

おすすめの遊び②:ドットカード遊び

ドットカードは、紙に「⚫⚫⚫」などが描かれたもので、3歳のお子さまは、パッと見て「3個」を判断できる時期です。

やり方:

  1. 1〜3個のドットが描かれたカードを作る
  2. カードを見せて「いくつ?」と質問
  3. 正解したら大いに褒める

4歳頃:数の順序と大小関係を理解する時期

発達の特徴:

  • 5までの数の理解が安定してくる
  • 数字の読み書きに興味を示す
  • 簡単な計算への土台ができる

おすすめの遊び①:お店ごっこ

想像力を膨らませて遊んでいると、数や種類が増えることもあるでしょう。

やり方:

  1. おもちゃのお金やお菓子を用意
  2. 「リンゴを3個ください」「100円です」などのやりとり
  3. おつりの計算も一緒にチャレンジ

おすすめの遊び②:すごろく遊び

コマを決め、サイコロを振って出た目の数を進み、ゴールを目指します。

効果:

  • 数の順序が自然に身につく
  • 「あと○マス」という加減の概念を学べる
  • 勝負の楽しさで継続的に遊べる

5歳頃:10までの数を完全に理解する時期

発達の特徴:

  • 10までの数の理解に繋がり、2桁の数字に親しめるものに取り組める
  • 簡単な足し算・引き算の概念を理解し始める

おすすめの遊び①:ブロック合わせゲーム

お互いに持っているブロックを「せーの!」で出して5になるようにしましょう。

やり方:

  1. それぞれが1〜4個のブロックを隠し持つ
  2. 「せーの!」で同時に出す
  3. 合計が5になったら成功

おすすめの遊び②:トランプの七並べ

七並べは1から10までの数字が順に並ぶことで、数字の階段がイメージしやすい遊びです。

効果:

  • 数の系列性(順序)が視覚的に理解できる
  • 「次に来る数字は?」という予測力が育つ

日常生活で数に親しむ効果的な方法

1. 生活の中の自然な声かけ

日常生活のなかで自然に数を取り入れることが大切です。具体的には以下のような場面を活用しましょう。

階段での数唱

  • 「いち、に、さん…」と一緒に数えながら上る
  • 「あと3段だよ」と残りを意識させる

お片付けでの数量確認

  • 「7台も並べたんだね!どの車が一番好き?」というような声かけ
  • 「全部で何個片付けたかな?」

時間の概念を取り入れる

  • 「3秒だけ待ってね」「時計の長い針が10のところに来たら帰ろうね」

2. お買い物での実践的な学び

お買い物は数の概念を学ぶ絶好の機会です。

具体的な活動:

  • レジでの合計金額を一緒に確認
  • 「あと○円で△円になる」という計算
  • 商品の個数を数える

買い物をする時のお金の計算や、スケジュール管理なども算数的な能力が必要なため、日常生活の中でも算数の考え方はとても重要です。

3. 料理での実体験

クッキーを焼く際に材料の量を計ったりすることで、実践的に数の概念を学べます。

活動例:

  • 卵を1個、2個と数えながら割る
  • 小麦粉をカップで測る
  • クッキーの型抜きで個数を数える

効果的な声かけと避けるべき対応

効果的な声かけの例

場面効果的な声かけ理由
正解した時「すごい!よく数えられたね」達成感と自信につながる
間違えた時「おしい!一緒にもう一回数えてみよう」ポジティブに対応し、数って面白い!という感覚をインプット
取り組み中「○○ちゃんなりに頑張ってるね」プロセスを認める

避けるべき対応

「なんでわからないの!?」「もっと早くしなさい!」「違う!間違い!」小学生の子供にこのような声かけをしている場合は、算数に対して苦手意識を持ちやすくなるため要注意です。

避けるべき行動:

  • 他の子と比較する
  • 間違いを強く責める
  • 無理に勉強させる
  • 「算数が苦手だから」と決めつける

数の苦手意識を克服するための環境づくり

1. 楽しい学習環境の整備

子どもは算数に苦手意識を持っていても、捉え方を工夫したり、ゲームを取り入れたりすることで、自然と算数の学びを深めることができます。

環境づくりのポイント:

  • 数字が見える場所にカレンダーや時計を配置
  • おもちゃは数えやすいよう整理整頓
  • 絵本は数に関するものを含める

2. 継続的な取り組みの重要性

算数の学習は積み重ねが必要であるため、継続的な学習が欠かせません。

継続のコツ:

  • 毎日5分でも数に触れる時間を作る
  • 嫌がる時は無理強いしない
  • 小さな成長も見逃さず褒める

3. 遊びを中心とした学習

遊びを交えた学びは、子どもにとってストレスを感じずに楽しく学ぶ良い機会です。幼児期の子どもにとっては楽しく学ぶことがモチベーションにつながります。

専門的なサポートが必要な場合

学習の目安と相談のタイミング

以下のような状況が長期間続く場合は、専門機関への相談を検討しましょう。

相談を検討する目安:

  • 5歳を過ぎても3までの数が理解できない
  • 数字への強い拒否反応がある
  • 日常生活での数の概念が全く身につかない

算数障害(ディスカリキュリア)という学習障害の可能性もあるため、早期の相談が重要です。

利用できる相談先

  • 市区町村の子育て支援センター
  • 幼稚園・保育園の先生
  • 小児科医
  • 言語聴覚士
  • 臨床心理士

【編集部体験談】我が家の数字克服エピソード

編集部スタッフAさんの体験談をご紹介します。

「息子が4歳の時、数字に全く興味を示さず心配していました。でも、大好きな電車のおもちゃを使って『いま何両編成?』『車両番号は?』と遊びながら声をかけているうちに、自然と数に興味を持つようになりました。

特に効果的だったのは、毎晩のお風呂で『10数えたら出ようね』と約束することでした。最初は私が一緒に数えていましたが、徐々に一人で10まで数えられるようになり、今では20まで数えて長風呂を楽しんでいます(笑)。

大切なのは、子どものペースに合わせること、そして数字を『勉強』ではなく『遊び』として捉えることだと実感しています。」

まとめ:数の苦手は必ず克服できる

数が苦手な子供の特徴として、数唱と数量の不一致、抽象概念の理解困難、苦手意識の形成などがありますが、適切なアプローチで必ず克服できます。

克服のポイント:

  1. 3つの基本要素(数唱・数量・数詞)を遊びで身につける
  2. 年齢に応じた遊びを選択し継続する
  3. 日常生活での声かけを大切にする
  4. ポジティブな環境を整える
  5. 子どものペースを尊重する

文部科学省が示すように、幼児期の遊びを通した学びは小学校以降の学習の基盤となります。お子さまの数への苦手意識は、ご家族の温かいサポートと継続的な取り組みで必ず乗り越えられるはずです。

焦らず、楽しみながら、お子さまと一緒に数の世界を探検してみてください。きっと「数って面白い!」と思える瞬間が訪れるでしょう。


参考文献・出典:

  • 文部科学省「幼児教育の重要性・遊びを通した学び」
  • 各専門機関による幼児の数的発達に関する研究資料